この商材では、何を入口にするか
ベースアップ評価料は、医療機関が看護職員やリハビリ職、事務職員などの賃金を引き上げることを評価する診療報酬です。届け出た医療機関は、評価料による収入を賃金の改善に充て、その状況を地方厚生局に報告します。令和8年度(2026年度)は「賃金改善中間報告書」を8月31日までに出すよう各厚生局が案内しており、報告書は医療機関ごとに作ります。給与の計算方法、職員ごとの基本給の比較、報告書づくりの手間は、給与・勤怠・労務のサービスや社会保険労務士が提案できる課題です。
ここでは医科区分の2つの受理届出名称を使います。「外来・在宅ベースアップ評価料(I)の注5」は、継続的に賃上げを行っている医療機関であることが施設基準です。「外来・在宅ベースアップ評価料(I)」は注5の付かない名称で受理されたものです。2026年10月21日の集計では、両方の名称で受理されている施設は約100施設に限られ、ほとんどの施設はどちらか一方でした。
同じ日の集計では、医科の収録施設のうち約2万6千施設に、どちらの名称の届出も名簿上見当たりませんでした。届出が見当たらないことは、賃上げをしていない、あるいは給与のサービスが入っていないという意味ではありません。職員を雇っていない施設や、評価料の対象にならない施設も含まれます。
公開名簿から実際に抽出した結果
集計日:2026-10-17。区分=医科。指定した受理届出名称の完全一致を施設IDで重複除去。各届出の件数は重なる場合があるため足し算しません。原本の版は地方厚生局ごとに異なります。
| 受理届出名称・条件 | 施設数 |
|---|---|
| 外来・在宅ベースアップ評価料(I)の注5 | 60,893 |
| 外来・在宅ベースアップ評価料(I) | 8,732 |
| いずれかを届出(重複除去) | 69,524 |
2つの届出の重なり
A=評価料(Ⅰ)の注5、B=評価料(Ⅰ)。片方のみは、もう片方の届出がこの名簿に見当たらないという意味です。
| 条件 | 施設数 |
|---|---|
| Aのみ | 60,792 |
| A・Bの両方 | 101 |
| Bのみ | 8,631 |
抽出結果の実例
| 都道府県 | 施設名 | 該当する届出(上表の略記) |
|---|---|---|
| 三重県 | 丹羽眼科 | 評価料(Ⅰ)の注5 |
| 京都府 | 一般財団法人薬師山病院 | 評価料(Ⅰ)の注5 |
| 佐賀県 | 神野病院 | 評価料(Ⅰ)の注5 |
条件一致の施設から都道府県を分散して3件抜粋。推薦や営業効果を示すものではありません。連絡前に公式情報を確認してください。
この条件に該当する施設の多い地域
| 都道府県(上位5) | 施設数 |
|---|---|
| 東京都 | 8,898 |
| 大阪府 | 5,943 |
| 神奈川県 | 4,818 |
| 愛知県 | 4,010 |
| 兵庫県 | 3,544 |
地域ごとの詳しい件数は47都道府県の集計CSVで確認できます。営業効率・売上規模の順位ではありません。
営業先候補を作る手順
- 商材が届出後の運用(給与計算・基本給の比較・報告書づくり)向けか、賃金制度の見直しや届出前の相談向けかを決めます。運用向けなら、2つの名称のいずれかを届け出た施設から始めます。
- 2つの名称を個別に抽出し、注5のある施設と無い施設を分けて管理します。注5は継続的な賃上げの施設基準なので、提案の切り口が変わる可能性があります。
- 「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」(評価料(Ⅰ)だけでは賃上げの原資が足りない施設向けの上乗せ)や、病院の「入院ベースアップ評価料」まで条件に入れるかを決めます。今回の集計では、評価料(Ⅱ)の医科の施設(約3千)は、すべて評価料(Ⅰ)系の届出も持っていました。名称ごとの件数は届出の一覧で確認できます。
- 既存の顧客や、顧問先として担当している施設と照合し、確認欄を付けて候補リストにします。
届出の施設数に月額料金を掛けて市場規模と呼ばないでください。職員数、給与計算を内製しているか外部に委託しているか、使っている勤怠・給与の製品は、担当者に確認するまで分かりません。
提案の前に別途確認すること
職員数と職種の内訳、給与計算の担当(院内・会計事務所・社会保険労務士)、現行の勤怠・給与の製品、法人で複数の施設を運営しているか、評価料の区分や点数は未収録です。施設ごとの病床数は名簿に載っている範囲で収録していますが、無床の診療所は病床数の欄が空です。
届出は施設基準を満たして受理された状態を表すもので、賃上げの金額や、特定の製品の導入状況・購入意向を示すものではありません。「届出条件に一致する」と「商材が合う」を別の状態として管理してください。
この抽出が合わない場面
賃上げの率や金額の多い順に並べること、職員数で絞ること、特定の給与製品の利用先だけを出すことはできません。求職者向けに給与水準の高い医療機関を案内する一覧でもありません。歯科診療所の「歯科外来・在宅ベースアップ評価料」と、薬局の「調剤ベースアップ評価料」は区分が異なるため、この記事の集計には含めていません。どちらも届出の一覧で件数を確認できます。
よくある判断の迷い
注5がない施設は、賃上げをしていないのですか?
そうとは限りません。注5は「継続的に賃上げを行っている」ことを求める施設基準で、注5の無い名称で受理された施設がどのような事情で注5を届け出ていないかは、名簿から分かりません。提案の前に、評価料の算定状況を担当者に確認してください。
報告書の作成を代行するサービスを案内してもよいですか?
名簿は営業先の候補を作るための公開情報で、施設側がどの事業者に何を頼むかは施設が決めることです。社会保険労務士の業務範囲など、提供するサービスごとの法令上の扱いは、提供者側で確認してください。
出典・集計方法と次の確認
出典:厚生労働省 各地方厚生局『届出受理医療機関名簿』を当方が集計・加工。制度要件の解説や、届出・報告の手続きの助言ではありません。様式や期限は所在地の地方厚生局の案内で確認してください。医療機関に商品・サービスを提供する事業者向けのデータ活用例です。
原本の版は局ごとに異なります。収録範囲と原本の対象時点、項目・欠損率をご確認ください。商材との適合や営業効果は未検証です。
制作:ROZANOVA STUDIO。AIを用いて原稿・図の制作を補助し、掲載集計は同じデータと抽出条件から再生成して照合しています。医療従事者や社会保険労務士による監修を表示するものではありません。